わかりやすい文章の書き方11のコツ。文章・文・文書の違いも解説

当記事では日本語文法における「文章」について解説します。

よく「文」や「文書」と混同されますが、明確な違いがあります。文章はただ言葉を集めただけのものではなく、人の心を動かすために書くもの。

今回は文や文書との違いに加えて、わかりやすい文章の書き方や注意点までまとめました。

なお日本語文法の全体像については下記の記事で解説していますから、文章についてだけでなく全体的におさらいしたい方は、併せて参考にしてください。

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\ この記事を書いた人 /

たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

文章とは

文章とは、いくつかの段落が集まって作られた、何かのメッセージや物語を伝えるものです。当サイトでは文章を「人の心を動かすために書くもの」と定義しています。

例えば下記のようなものは、どれも全て「文章」です。

  • 小説
  • ビジネス書
  • 報告書
  • 論文
  • Webサイトのページ

どれもかならず「読み手」がいるものですから、できるだけわかりやすく、読みやすく書く意識を持つことが大切です。

ちなみに良い文章を書く力を「文章力」と呼びますが、これはトレーニングすれば向上させられるものです。良い文章を書けるように、訓練してみてはいかがでしょうか。

「文」と「文章」と「文書」の違い

普段よく混在して使われる言葉ですが「文」と「文章」は明確に意味が違います。

  • 「文」:句点(。)から句点でまとまった、言葉の集まりのこと
  • 「文章」:いくつかの段落が集まって構成されたもの
  • 「文書」:文章の書かれた、書籍や原稿などの媒体

「文章」は何かしらのコンテンツとして成り立っているもので「文」はそれを構成する要素の一つだと覚えておくと良いでしょう。

そしてそんな「文章」が書いてあるものを「文書」と呼びます。

わかりやすい文章の書き方11のコツ

文章は読んだ人の心を動かすために書かれるものですから、読み手にとってわかりやすいものであるべきです。

ここではわかりやすい文章を書くコツを11個ご紹介していきます。

  1. 一文を端的に書く
  2. 豊かな表現を用いる
  3. 文末のリズムを工夫する
  4. 結論から伝える
  5. 「こそあど言葉」をできるだけ減らす
  6. 敬語を正しく使う
  7. 区切り符号を適切に使う
  8. シチュエーションに適した文体で書く
  9. 適度に要約を入れる
  10. 表記ゆれを避ける
  11. 適度に漢字をひらく

1. 一文を端的に書く

良い文章は、一文が端的に書かれています。

文を端的にするには、一文で説明する事柄を一つに絞って書いていくのがセオリー。

書きたい内容が多くなるほど複雑な文になってしまいがちですが、書く前に内容をよく吟味して、シンプルに順序よく伝えられるよう心がけましょう。

この考え方やテクニックを「一文一義」と呼びます。下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。

2. 豊かな表現を用いる

良い文章は、最後まで自然とスムーズに読めるものです。

そんな文章を書くには、豊かな表現を用いるのがポイント。単調な文章だと読む気がなくなってしまいますので、ぜひ色々な表現を使って読者を飽きさせないように工夫してみて下さい。

そんな文章を書くには「修辞法(レトリック)」というテクニックが役立ちます。下記の記事で解説していますので、参考にしてみて下さい。

3. 文末のリズムを工夫する

文の語尾(文末)のリズムを工夫していくのも、良い文章を書くために必要なこと。

例えば「です。です。です。です」と同じ文末が続く文章は、まるで無理やり書かされた読書感想文のように単調な原稿になってしまいます。

スムーズに読んでもらうには「です。でした。でしょう。ます。」などとあえて文末のリズムを変えていき、読み味をよくする工夫をしていきましょう。

「文末表現」は奥が深いテクニックですので、下記の記事も参考に、豊かな表現方法を身につけていって下さい。

4. 結論から伝える

良い文章は、結論からわかりやすく書かれています。

そんな文章を書くために「結論・理由・具体例・結論」の順番で伝える「PREP法」を取り入れていきましょう。

読み手の時間を奪わないためにも、よく理解してもらうためにも、答えは先に伝えておくのがベターです。

下記の記事も参考に、PREP法の書き方を押さえておいて下さい。

5. 「こそあど言葉」をできるだけ減らす

文章を書くうえで「こそあど言葉」はとても便利ですが、使いすぎると読みにくい文章になってしまいます。

こそあど言葉とは「指示語」の俗称で、「これ・それ・あれ・どれ」など、モノゴトを抽象的に指し示す言葉です。

例えば「これが大切です」と書いたときに、読者から「これってどれ?」と思われてしまうと、途端に文章全体の説得力がなくなってしまいますし、誤った情報として伝わってしまう可能性すらあります。

すべてなくすのは難しいかもしれませんが、できる限り「こそあど言葉」は減らしていきましょう。

6. 敬語を正しく使う

良い文章を書くにあたり、盲点になりがちなのが「敬語」の知識です。

誤った敬語が使われた文章は不快に感じる人が多いのですが、意外に敬語を勉強し直すライターは少ないのが現実。一歩抜きん出るために、一通り敬語についてもおさらいしておきましょう。

「敬語の基礎知識は問題ない」という方は「二重敬語」や「敬語連結」に関する記事を。基礎から見直したい方は下記の記事を参考にしてみて下さい。

7. 区切り符号を適切に使う

読者がスムーズに読める文章を書くには、句読点をはじめとした「区切り符号」の使い方にも注意を払いましょう。

区切り符号とは、以下7種類の記号のことです。

  • 句読点「。」「、」
  • ダッシュ記号「—」
  • 括弧()
  • 中点(ナカテン)「・」
  • 3点リーダー「…」
  • 感嘆符「!」
  • 疑問符「?」

一般的なルールから大きく外れた区切り符号の使い方をした文章は、やはり読みにくくなってしまいます。

下記の記事を参考に、いま一度おさらいしておいて下さい。

8. シチュエーションに適した文体で書く

適した文体は状況や伝える相手によって変わりますから「書き言葉」と「話し言葉」を使い分けられるようにしておきましょう。

普段の会話で使うような言葉を「話し言葉」と呼び、これは意識せずとも多くの方が使いやすい文体です。一方で「書き言葉」といって、普段の生活よりもかしこまったシーンで使う文体があります。

書き言葉が多く含まれると固い文章になり、話し言葉が多く含まれるとゆるい文章になりますから、これらを状況に応じてバランスよく扱っていくことも、文章を書くうえで大切なことです。

9. 適度に要約を入れる

わかりやすい文章を書くうえで「要約」は必須とも言えるテクニックです。

難しいことを難しいまま伝えることや、専門知識を同じ知識レベルの人に話すのは簡単です。しかし難しいことを簡単に、専門知識を素人に伝えるのは難しいため「かいつまんで要点を伝える」といった技術が試されます。

例えば「要するに〜」「つまりは〜」と、具体例を入れていくだけでも随分わかりやすくなりますし、よく使われる要約テクニックの一つです。

相手にとってわかりやすく伝えられるような文章を書いていきましょう。

10. 表記ゆれを避ける

スムーズに読める良い文章を書くには「表記ゆれ」を避けるのも大切。

例えば「Web・WEB・web」と同じ言葉なのに違った表記が混在している文章は、読者の脳に自然と負担をかけてしまいます。

頻出する単語には表記ルールを定めて、表記を統一した読みやすい文章を書いていきましょう。

11. 適度に漢字をひらく

漢字があまりに多く使われている文章は、読むのに疲れてしまいます。適度に漢字を開き、ひらがなやカタカナも用いながら文章を書いていきましょう。

一般的には「漢字3割・ひらがな(カタカナ)7割」くらいのバランスで書かれた文章が読みやすいとされていますので、それくらいの配分で執筆するよう心がけることをおすすめします。

特に画数が多くて複雑な漢字(煩わしい・漸く・然し・有難う・など)は、積極的に開いていきましょう。

表記ルールとも合わせて、漢字の開きにも注意してみて下さい。

文章を書くときに間違いやすいポイント

どれだけ読みやすい文章を書けても、明らかに間違っているポイントがあったら台無しです。

文章を書くときに間違いやすいポイントも、あわせて知っておいてください。

係り受けを間違えてしまう

文章を書くうえでもっとも間違いやすいのが、係り受けです。

「係り受け」とは、言葉同士の関係性のこと。「主語と述語が対応していない」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これが「係り受け」の間違いです。

係り受けが間違っていると、意味が正しく伝わらないこともあれば、そもそも何を言っているのか理解してもらえなくなる場合もあります。

文章を書いたあとは、最低限係り受けが間違っていないか見直してみることをおすすめします。

並立の「たり」を単体でつかってしまう

「〜したり、〜したり」と並立のモノゴトを表現するときには「たり」を使います。

下記のように間違ってしまいやすいため、注意してください。

「たり」の間違いやすい例
  • 今日は勉強したり、読書をして過ごした。

正しくは「今日は勉強したり、読書をしたりして過ごした」と「たり」を重ねて使わないといけません。

「たり」の扱いについては、下記の記事も参考におさらいしてみてください。

重言を使ってしまう

なんとなく文章を書いていると間違いやすい日本語に「重言」があります。

重言とは、同じ意味を持った言葉を重ねて使っている日本語表現のこと。

例えば「頭痛が痛い」などの熟語の誤用が有名でわかりやすいのですが、あまり意味が浸透していない言葉の重言がやっかいです。

例えば「内定が決まる」は誤用で、本当は「内定する」「内定を勝ち取る」と表現するのが正になります。このような言葉は、気づいたときに一つずつ注意していくしかありません。

下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

論理構造が間違っている

どれだけ読みやすい文章でも、論理が破綻していれば説得力がなくなります。もちろん感情を伝える部分も必要ですが、文章全体の流れとしては論理構造を大切にしましょう。

たとえば一部で解説しているモノゴトの前提が間違っていたり、あるいは論理が飛躍してしまったりすると、その文章全体にチープな印象を持たれてしまいます。感情が生きるのは、論理の土台ができているからこそ。

論理的にモノゴトを説明するテクニックとして「三段論法」がありますから、基本として押さえておいてください。

「文章」以外の言葉の単位

最後に、文章を構成する言葉の単位について解説しておきます。

「文章」はあくまで言葉の単位のうちの一つですので、他の単位も併せて知っておいて下さい。

単語

単語とは、文章を構成するなかで最小単位の言葉のこと。文法的にいえば「自立語」あるいは「付属語」単体を指します。

例えば「今日は月が綺麗」という文の中では「今日」「は」「月」「が」「綺麗」という言葉を、それぞれ単語として扱います。

文節

文節とは単語単体、あるいはいくつかの単語で構成された、意味が通じる最小単位の言葉のこと。文法的に言えば、自立語と付属語で構成された言葉です。

例えば「私は|2年前から|ずっと|文章の|勉強を|している」という文では「|」で区切った言葉が文節の区切りになります。

「文」とは、句点(。)から句点までで構成される言葉の集まりのこと。最低限「独立語」だけ、あるいは「(主語+)述語」があれば成り立ちます。

例えば「明日は晴れると良いな」というような、メッセージを持つ言葉の集まりが「文」として扱われます。

段落

段落とは、一つ、あるいは複数の文が集まって構成されているブロックのこと。基本的には、話題が続いているひと続きの文をまとめて「段落」として構成します。

基本的には「読み手が読みやすいように」という視点で、段落分けを考えていくと良いでしょう。

まとめ

文章とは、いくつかの段落で構成された、読み手を動かすために書かれるものです。

分かりやすく伝えるために、今回ご紹介したコツや注意点を意識してみてください。

文章に関する基礎知識としては「文の成分」に関しても知っておいて損はありませんので、よろしければ併せておさらいしておいて下さい。

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