表記ゆれとは?意味や具体例、ルール作りのコツを解説

当記事では、日本語文法における「表記ゆれ」について解説します。

表記ゆれの意味や具体例などをわかりやすくご紹介しますので、文章執筆の参考にして下さい。

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たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

表記ゆれとは

表記ゆれとは、一つの文章の中で同じ言葉を複数の表記で書いてしまうこと。表記ゆれがあると読者にとってわかりにくい文章になってしまいますので、基本的に避けるべきものです。

表記ゆれの例

「行う」「行なう」「おこなう」

ひとつの文章の中で上記の表記が混在していると「それぞれ違った意味で使っているのか?」と読者が混乱してしまいます。

よって頻出する単語は、どの表記を使うかあらかじめ決めておくことが大切で、そこで決めるルールを一般的に「表記ルール」と呼びます。

表記ゆれが起こりやすいシチュエーションと具体例

表記ゆれを避けるには、どんなタイミングで表記ゆれが起こってしまうのか理解しておくことが大切です。

ここでは表記ゆれが起こってしまいがちなシチュエーションを7つに分類して、具体例を挙げながらご紹介していきます。

誤って覚えている人が多い言葉

  • 「◯ベッド・×ベット」
  • 「◯コミュニケーション・×コミニュケーション」

カタカナの言葉に多い傾向にありますが、誤って覚えている方が多い言葉は表記ゆれの原因になります。

特にそのメディアや誌面で頻出する単語については、表記ルールを定めておくと良いでしょう。

読みが同じで意味の違う言葉

  • 「身体・体」
  • 「保険・保健」
  • 「性格・正確」

読みが同じで意味が違う漢字は、統一するというよりも「正しい意味で使う」ことが大切です。

ここの表記ルールを適切に整理するのは、読者に正しく伝えるという意味でも、それがWebメディアであればSEO対策の意味でも有用です。

漢字の開き

  • 「煩わしい・わずらわしい」
  • 「有難う・ありがとう」
  • 「事・こと」

漢字で書ける言葉をあえてひらがなで表記することを「漢字を開く」と呼びます。より読みやすい文にするために、画数の多い漢字、あるいは一般的に難しい漢字は開くと良いでしょう。

その「開く漢字」は文ごとに調整するというよりも、文章やメディア全体で統一しておくとスマート。表記ルールに含めておくことをおすすめします。

漢字の送り仮名

  • 「◯行う・×行なう」
  • 「◯少しずつ・×少しづつ」
  • 「◯忙しい・×急がしい」

意味の違い誤用なども関わってきますが、漢字の送り仮名違いも表記ゆれしやすいポイントです。

こちらも頻出する単語については、あえて正しい送り仮名で表記ルールを設定しておくと良いでしょう。

数字

  • 「10円・10円・十円・¥10」
  • 「AM10:00・13:00・13時」

数字の表記は「半角・全角・漢数字」と3種類あり、さらに単位の表記も様々です。数字の表記と単位も明確に表記ルールとして定めて、文章やメディア全体で統一しておくと良いでしょう。

英単語

  • 「Web・WEB」
  • 「html・HTML」

英単語の表記も「文頭だけ大文字・全部大文字・全部小文字」と様々で、その単語ごと適切な表記が違ってくる場合もあります。

頻出する英単語は、表記ルールとして定めておきましょう。

文末表現

  • 「です・ます」
  • 「だ・である」

「です・ます調」「だ・である調」の文末表現は、メディア全体で統一しておくべきルールです。

またその他、口語口調の「ですよね」などを許すかというのも定めておかなければ、記事によって大きく口調が変わることになります。

必要な分だけ、ルールとして定めておくと良いでしょう。

表記ルールを設定するメリット

表記ゆれを避けるには、表記ルールを設定する必要があります。そしてそのメリットは「読みやすさの向上」だけではありません。

表記ルールを設定すると、執筆者や編集者など文章に関わる人すべてにメリットがありますので、ここもぜひ理解しておいて下さい。

読者から見て読みやすい

表記ルールを設定して表記ゆれを避けると、まずは「読者が迷わず読める」というメリットが得られます。

文中の同じ言葉がさまざまな表記で書かれていると、意識的に「違う意味なのかな?」と読み分けようとしてしまうだけでなく、無意識下でも脳に負担がかかる可能性があります。

まずは読者のために、表記ゆれを避けるよう心がけましょう。

誤った意味で伝わるリスクが少なくなる

表記ルールを設定することで、文章を誤った意味で捉えられてしまうリスクを減らせます。

例えば「身体」と「体」は明確に違う意味で使われる言葉なのですが、それを理解して書き分けられていなければ、読者に誤ったニュアンスで伝わる可能性があります。

特に頻出する言葉で複数の漢字表記のある言葉は、表記ルールを定めておくと良いでしょう。

編集・校正がスムーズになる

明確な表記ルールがあることで、編集や校正の作業がスムーズになります。

そもそも表記ルールがなければ、何に合わせて校正すれば良いのかわかりませんので、前提として表記ルールは必要です。

仕事をスムーズに進めるためにも、表記ルールは明確に定めておくべきです。

SEO対策として有効

同じ言葉でも、表記が違うと検索結果が変わることがあります。

例えば「ありがとう」「有難う」では、検索結果が下記画像の通りまったく変わります。

つまり文中の言葉も統一して使っておかなければ、クローラーが迷ってしまう恐れがあります。

機械にも読みやすくするために、表記ルールは定めておきましょう。

表記ルールを定める際の注意点

最後に、表記ゆれを避けるために表記ルールを定めるときの注意点をお伝えします。

ターゲットとなる読者に合わせる

実際どのような表記にするかということは、そのメディアや誌面のターゲット読者やペルソナに合わせましょう。

例えばそれがビジネスパーソンを相手にするメディアであれば、カジュアルな「ありがとう」よりもあえて「有難う」と表記したほうが良いかもしれません。

しかし女性向けのカジュアルなメディアで「有難う」などと表記していると、読者から見てかなり違和感があるはずです。

あくまでターゲットに合わせた表記にしておくと良いでしょう。

必要最低限のルールにする

表記ルールを決めるときに、細かく決めようと思えばどこまででも決められてしまいます。

しかし実際に運用することを考えると、あまりにルールが多いと書く方もチェックする方も大変です。

あくまでそのメディアや誌面の記事ジャンルで頻出する単語などに絞り、必要最低限にしておきましょう。

チェック体制も整える

表記ルールを設定しても、結局はそのルール通りにかけているかチェックする体制も必要です。

校正ツールなどを使って、効率よく表記ゆれをチェックする体制を整えておきましょう。

校正ツールなら文賢が有名ですので、検討してみて下さい。

まとめ

表記ゆれが多い文章は、読者にとって親切とは言えません。ぜひ基本的な表記ルールを定めて、表記ゆれは避けていきましょう。

またライターとして執筆するなら、そのメディアの表記ルールは確認してから執筆にあたることが大切です。もしも指示書に表記に関する項目がなかった場合、念のため表記ルールの有無を確認してみて下さい。

下記の記事では「良い文章を書くコツ」を他にも色々とご紹介していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

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