重言(二重表現)とは?種類と具体例を解説【一覧表あり】

当記事では、日本語文法における重言(二重表現)について解説します。

もっとも有名な重言の一つに「頭痛が痛い」がありますが、実はもっと当たり前のように使っている重言がたくさんあります。

なお重言は日本語文法的に明確な誤りではありませんが、嫌がる人が一定数いる表現であるため、当サイトにおいては「避けるべき」だと考えています。

特にビジネスメール文章執筆など仕事の関わるシーンでは、嫌がる人のいる表現は避けるべきですので、どんな言葉が重言に当たるのか知っておきましょう。

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たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

重言(二重表現)とは

重言(二重表現)とは、同じ意味を持った言葉を重ねて使っている日本語表現のこと。

有名な重言に「頭痛が痛い」「馬から落馬する」「過半数を超える」などがあります。

よく「誤用だ」と言われてしまう表現ですので、プライベートでは問題ないにしても、仕事の現場で使うのは望ましくありません。

一通り理解しておき、とくに畏まったシーンではできるだけ避けられるようにしておきましょう。

重言の種類と一覧表

ここからは、重言を4つの種類に分けて解説していきます。

ジャンルごとにわかりやすく分けましたので、一つひとつの重言を覚えるというよりも「どういうものが重言になるのか」と理解しておいて下さい。

熟語を誤用した重言

熟語とは、いくつかの単語が結合してできた単語のこと。単体の言葉よりも多くの意味を含むことが多いため、誤って重言にしてしまいやすい言葉です。

例えば「頭痛」という熟語は、もともと「頭が痛い」という文を端的な体言に言い換える際に作られた言葉です。なのに「頭痛が痛い」としてしまうのは、まったく同じ意味の言葉を重ねてしまうことに他なりません。

これは基本的に、明確に避けるべき重言だと考えます。

熟語を誤用した重言一覧表

重言(二重表現)正しい表現
頭痛が痛い頭痛がする/頭が痛い
馬から落馬する落馬する/馬から落ちる
過半数を超える過半数に達する/半数を超える
はっきりと明言する明言する/はっきりと言う
あらかじめ予約する予約する/予め約束しておく
後で後悔する後悔する/後で悔いる
車に乗車する乗車する/車に乗る

「することができる」重言

「することができる」という表現も、場合によりますが、当サイトでは重言として扱います。

「場合による」としたのは、本来この文が持つニュアンスで使う場合においては問題ないとも言えるからです。

ちなみに基本的には「できる」と言い換えられますが、下記のようなニュアンスの違いがあります。

ニュアンスの違い
  • 「〜することができる」:やろうと思えばできるという意思表示
  • 「〜できる」:現実的に可能であるという事実の提示

例えば「しっかりとトレーニングすることができます」という文は、多くの場合「しっかりとトレーニングできます」で十分です。

「可能である事実」を示す際に「することができる」とすると、本来のニュアンスが伝わりにくく、ただただ冗長になるだけで良いことがありません。できるだけ避けることをおすすめします。

「することができる」重言一覧表

重言言い換え表現
運動することができます。運動できます。
教えてもらうことができます。教えてもらえます。
楽しく通うことができます。楽しく通えます。

下記の記事で詳しく解説していますので、あまり腑に落ちない方はぜひあわせてご覧ください。

意味が浸透していないタイプの重言

また、その言葉の正しい意味が浸透しておらず、結果的に重言として使われているようなシチュエーションも存在します。

「内定が決まる」などが代表例ですが、この「内定」という言葉の意味を正しく捉えている方がどれだけいるのでしょうか。

実は「内定」と言う言葉には「内々に決まる」といった意味が含まれているため「内定する」が正しい用法です。あるいは「内定を勝ち取る」や「内定を獲得する」なら大丈夫とされるケースがほとんど。

「頭痛」などの単純な熟語と違って、人によって理解度や浸透具合が異なる言葉を使う場合、知らず知らずのうちに重言になってしまっている可能性があります。

これは避けるのが難しいため、気づいたときに一つずつ正していくと良いでしょう。

意味が浸透していないタイプの重言一覧表

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重言正しい表現
内定が決まる内定する
(内定はそもそも「決まる」という意味を含む)
被害を被る被害を受ける
(被害は、そもそも「被る」という意味を含む)
クリスマス・イブの夜に会おうクリスマス・イブに会おう
(クリスマス・イブはそもそも「クリスマス前夜」という意味)
これが最後の切り札だこれが切り札だ
(「切り札」には「最後」の意味を含む)
最後に追い込みをかける追い込みをかける
(「追い込み」には「最後」の意味を含む)
満天の星空満天の星
(「満天」には「空」の意味を含む)

二重敬語

また「二重敬語」と呼ばれる表現も、重言の一種と言って良いでしょう。

二重敬語とは、同じ種類の敬語を同じ言葉に対して重ねて使っている日本語表現のこと。人によっては「失礼だ」と感じることがある表現ですので、できるだけ避けるべきだとされています。

丁寧語と謙譲語をよく理解しておかなければ避けるのが難しいため、心配な方は文法自体をおさらいすることをおすすめします。

二重敬語一覧

重言正しい表現
お読みになられるお読みになる
お見えになられるお見えになる
ご連絡させていただきますご連絡いたします
喜んでお受けさせていただきます喜んでお受けいたします
おっしゃられたようにおっしゃったように

下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。

そもそも重言は文法的に間違いなのか?

実は重言に関しては、明確に誤りだとする資料やルールはありません。

例えば文化庁が公用文作成時のルールとしている『公用文の作成に関する成果物について』の資料においても、特に重言を禁じている箇所などは見当たらないのです。

そもそも文章自体が比較的自由なものですし「正しい文法」も時代によって変わります。

よって基本的には重言がどうというよりも「コミュニケーションがスムーズであれば良い」と考えるのが建設的なように思います。

ただし、それはプライベートなシーンや、あくまで言葉や文章をコミュニケーションツールとして使う場合においてのみです。

例えば文章を「商品」として納品するWebライターやコピーライターの仕事。あるいは大勢の方がお金を出して読むような書籍の執筆、あるいは大勢の方が知識を得るために読むようなWebコンテンツの作成。

そのような状況においては、わざわざ二重表現を使う意味もないのではないかと思います。

重言は知識さえあれば避けられることですので、文章を商売に使ったりするのであれば、できるだけ避けようと努力するのが正しい姿だと考えています。

賛否あるとは思いますが、

  • それがプライベートなら他人がどうこういう土俵ではない
  • ビジネスの場合は相手がどう感じるか判断しづらいため、できる限り重言を避けるべき
  • 文章を商売で使うなら、最大限重言を避けられるよう努力すべき

このように考えています。

正しい用法を知っておいて損はありませんので、ぜひ色々な知識を取り入れていって下さい。

まとめ

重言は、知らず知らずのうちに使ってしまいやすい表現です。好まない人も多い表現ですので、避けられるものは避けるよう意識してみて下さい。

ぜひ色々な熟語や言葉の意味を知って、正しく綺麗な文章を書けるようになっていきましょう。

下記の記事では「良い文章を書くコツ」を他にも色々とご紹介していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

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