今回は日本語の文章における「主語」について解説します。
主語の意味や使い方、注意しておきたいことなどをわかりやすくご紹介しますので、この機会におさらいしていって下さい。
また日本語文法の全体像は下記の記事で解説していますから、主語だけでなく全体的におさらいしたい方は、併せて参考にしてください。
主語とは
主語とは、その文の主役になる言葉を指します。文法的には「体言+助詞」の構成で作られている、文の成分のうちの一つです。
「誰が」それを行うのか。「何が」どうなるのか。
上記の「誰が」「何が」を示す要素を「主語」と呼びます。
この主語ですが、かならず文頭にあるわけではありません。そもそも主語がない文章も存在しますし、主語を入れ替えて表現することもあります。
- 「僕はWebライターになりたい」
- 「Webライターに、俺はなる」
- 「Webライターになりたい」
- 「Webライターという仕事が、僕を呼んでいる」
上記はいずれも「Webライターになりたい」という話の主旨は同じですが、主語の位置が違ったり、そもそもなかったり、主語がWebライターではなかったりします。
それぞれ読者に与える印象やニュアンスが変わってきますので、適切に主語を扱えるようになっておきましょう。
主語として使える言葉
主語は「体言+助詞」で成り立っているとお伝えしました。主語として使える「体言」とはなんなのか、下記具体例をご覧ください。
主語として使える言葉 | 言葉例 | 文例 |
---|---|---|
名詞 | 机、パソコン、Webライター、それ | 「机」が欲しい |
動詞の活用語 | 動き、歩み、悩み | 「動き」が素早い |
形容詞+「さ」 | 白さ、暑さ、わかりやすさ | 「暑さ」がひどい |
形容動詞+「さ」 | 爽やかさ、 | 「爽やかさ」が足りない |
形容詞+「み」 | 甘み、からみ、ありがたみ | 「甘み」が足りない |
余談ですが、動詞や形容詞などが活用されて名詞として扱われる言葉を「転成名詞」と呼びます。
主語と主部の違い
主語と似た意味で使われる「主部」という言葉もあります。
主語はすでに説明した通りですが、主部は「主語+主語を修飾する言葉」をまとめて指すという違いがあります。
具体例をご用意しました。
例文「緊張した私は、何も言えなかった」
- 主語:私は
- 主部:緊張した私は
この場合「私は」が主語なのはわかりますよね。
一方で主部は、主語である「私は」を修飾している「緊張した」もひっくるめて「どんな・誰だ」を指し示す言葉のことです。
この主語と主部の違いも押さえておきましょう。
主語の見分け方
その文の中でどの言葉が主語なのか見分けるには、下記二つの条件に照らすと確実です。
- 「体言」に助詞の「は・が・も」がついた言葉である
- 述語とセットにすれば文が成り立つ
例えば下記の文例をご覧ください。主語がどれかわかりますか?
- 僕は明日のテストで良い点を取るために勉強する
- 明日のテストでは、僕も良い点を取りたい
- 僕が君に勉強を教える
1は「僕は」2は「僕も」3は「僕が」が主語です。
まずそれぞれ助詞の「は」「が」「も」いずれかがついています。そして主語は、述語とセットにするだけで文が成り立ちます。
- 僕は勉強する
- 僕も取りたい
- 僕が教える
主語を見分けるには「は・が・も」いずれかがついていて、述語と抜き出せば意味が通じるかどうか確かめると良いでしょう。
主語と述語の関係性が難しいと感じる場合は、下記「係り受け」の記事も参考にしてみて下さい。
主語の適切な用法と具体例
次に、主語の具体的な使い方を説明していきます。
まず前提知識として、基本的に主語は「述語」とセットで使うと覚えておきましょう。
基礎概念は、以下の通りです。
- 主語:その文章の「主役」になる言葉
- 述語:主語の「状態」を説明する言葉
あらためて体系的に考えると意外な発見があったりしますので、ぜひおさらいしておいて下さい。
主語を文頭に置く場合の使い方
主語は「文頭」に置くのが、最もベーシックな使い方です。
用例は以下の通り。
「(主語)は(述語)する(である)」
具体例は、以下の通りです。
「私はランチを食べる」
- 主語:私(は)
- 述語:食べる
もっともシンプルな使い方ですね。
主語を文中に置く場合の使い方
次に、主語を文中に置く場合の使い方を解説します。用例は以下の通り。
「〜〜には、(主語)が(述語)だ」
わかりにくいと思いますので、実際の文例をご覧ください。
「文章を書くには、ペンが必要だ」
- 主語:ペン(が)
- 述語:必要だ
上記文章の場合は「ペン」が主語になります。
ちなみにこれを「主語を文頭に置く文章」として入れ替えると、「ペンは文章を書くために必要な道具だ」になります。
さらに余談ですが「”文章”を主語にする文章」にしたい場合は「文章はペンを使って書くものだ」などと組み替えます。
このように主語の取り扱い方の違いで「文章の印象」がガラッと変わりますので、自分が伝えたいイメージを適切に表現できるよう練習していきましょう。
主語を文章に入れない場合の使い方
主語を文章に入れない場合、意味を正しく伝えるには前後の文章に工夫が必要です。
例えば「Webライターになりたいと思っている」という文章だけでは「誰が?」という主語がわかりません。これがいわゆる「主語のない文章」です。
しかしその前後の文章でフォローすることで、主語のない文章を成り立たせることができます。
- 「私はずっと物書きに憧れていた。だからWebライターになりたいと思っている」
- 「Webライターになりたいと思っている。だから私は、日々文章の勉強を続けている」
上記の文章だと、主語が「私」だとわかりますよね。
主語を文章に入れない場合は、その前後の文章で主語を明確にしたうえで、接続語で繋げて成り立たせるのがセオリーです。
このように主語の場所を変える場合、それぞれの言葉の後ろにつく「てにをは(助詞)」も大切になってきます。ぜひ下記の記事を参考にしてみて下さい。
主語と主題の違い
また日本語の文法上では、主語と似たニュアンスの言葉に「主題」や「題目」と呼ばれるものがあります。
説明のために、一文を用意しました。
上記文の場合、述語は「長い」になります。では主語はどれかと考えたとき「長い」と対応しているのは「首が」だとわかります。
では「キリンは」は何なのでしょうか?
これが主題や題目と呼ばれる言葉であり、上記文は「キリンを題目とする話の中で、首を主語として話している」という解釈になります。
正しく(まわりくどく)表現すると、
「キリンに関していうならば、首が長いのが特徴だ」
となります。
「”は”や”が”がついていれば主語だ」と単純に覚えていると間違えてしまいますので、あくまでその文章が何を伝えたいのか理解しながら、主語や述語を整理しましょう。
主語を扱う際の注意点
次に、主語を上手に使うことで「大人な文章」あるいは「Webライターが商品として提供できるレベルの文章」を書くための注意点を解説しておきます。
ただ文章を書くだけなら「私は〜〜です」「なぜなら〜〜だからです」という文章を続ければ良いのですが、それだとどうしても機械的かつ子供っぽい文章になってしまうのが難点。
また詳しく説明しようとするあまり、文章が冗長になって乱れてしまうという現象はよくあることです。
ここではそんな「わかりにくく、子供っぽい文章」を避けるコツをまとめました。
主語と述語の「ねじれ」に注意
文章を書く上でもっとも注意したいのは、主語と述語のねじれです。文章にねじれが起こると途端に意味が通らなくなりますので「主語と述語はかならず対応させる」と覚えておきましょう。
まずは以下の文章をご覧ください。主語と述語がねじれている例です。
なんとなくスラっと読めてしまいそうですが、よく見ると違和感があるかと思います。
違和感を感じた場合、主語と述語だけを抜き出してみましょう。
- 主語:(私の)パソコンは
- 述語:使っています
主語と述語を抜き出すと「パソコンは使っています」となっており、主語と述語がねじれてしまっていることがわかります。
この場合は「私のパソコンは〜です」あるいは「私は〜を使っています」などが正になりますので、伝えたいことを絞って文章構造を見直すと良いでしょう。
例えば以下のような文章にすると読みやすくなります。
- 私は最新のMacBook Airを使っています。
- 私のパソコンは、最新のMacBook Airです。
このような関係性を文章の「係り受け」と呼びます。下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひおさらいしておいて下さい。
連続する文に同じ主語を使うと、子供っぽい文章になる
主語を伝えるのは大切なのですが、だからといって連続する文に同じ主語を入れると、途端に子供っぽい文章になってしまいます。
例えば下記の文例をご覧ください。トヨタについて解説した文章です。
このように連続する文に同じ主語を入れると、わかりにくくはありませんがクドくて子供っぽい文章になります。
例えば下記文例のように、ある程度主語を取り除いたり、文章を上手く繋げたりすると良いでしょう。
ただし文章を長くしすぎるとわかりにくくなったり、あるいは「ねじれ」が生じたりする可能性もありますで、良い塩梅の文章を書けるようになりましょう。
「主体」を固定した文章を書くよう注意
文章を書くうえで主語はとても大切な要素ですが、前提として「主体(視点)」を固定しておくことが必要です。
例えば、
なんとなく読めてしまいそうですが、よく見ると文ごとに視点が違った違和感のある文章になっています。
- 「ユニクロには、多くの服が用意されています」=主体が「第三者」
- 「〜お客様から好評を頂いている理由」=主体が「お店」
- 「いつでもゆっくりと好きな服を選べます」=主体が「お客さん」
例えば「第三者視点」に固定すると、下記のような文例になります。
特にWebライティングの仕事で「レビュー記事」「比較記事」などを書く際、視点が乱れてしまう方がとても多いので、重々注意しておきましょう。
まとめ
主語を上手に取り扱えるようになると、文章表現がもっと豊かになります。
まず「主語と述語を対応させる」という基礎はおさえた上で、イメージ通りの文章が書けるようになっていきましょう。
また「主語」は「文の成分」の一つです。他の要素についても、合わせておさらいしておいてください。