今回は日本語文法における「主題」について解説します。
学校教育ではあまり習わなかったと思いますが、文章には「主語」や「述語」のほかに「主題」となる言葉が存在します。「主題」の意味や使い方、見分け方などをわかりやすくご紹介しますので、この機会にぜひ知っていってください。
また日本語文法の全体像は下記の記事で解説していますから、主題だけでなく全体的におさらいしたい方は、併せて参考にしてください。
主題とは
主題とは、その文における「テーマ」を表す言葉や事柄のこと。主語とは違い、その文全体がなんのことについて話しているのか取り決めている題目のことです。
「主題・主語問題」を取り扱っている有名な文がありますので、それを取り上げて解説します。下記の文をご覧ください。
有名な言論学者である三上章氏の著書名にもなっている文です。これについて考えてみましょう。
述語は、もちろん「長い」ですね。
では「何が長いのか」と考えると「鼻」だとわかりますので、主語は「鼻」です。
では「象」は……と考えたとき、これが「主題」に当たる言葉に分類できるというわけです。
まず「これは象の話なんですけど」と前置きをしたうえで、主語である「鼻が」や述語である「長い」という言葉が存在するようなイメージですね。
学校ではあまり習った覚えがないと思いますが、日本語にはこのように「主題」が存在するのです。
学問的な興味がある方は、下記の書籍も手に取ってみて下さい。
主語と主題の違いと見分け方
主語と主題の違いについての概念的な部分を、もう少し具体的に解説していきます。
ぜひ根本的な理解を深めていってください。
主語は主役。主題は対象。
文章の基本は「何がどうした」「誰が何をした」といった「AがBである」構文で成り立っています。
しかし多くの話題においては、その話の対象を絞り込む必要があります。
例えば「鼻が長い」という事象は、全員が全員に当てはまるものではありません。当てはまるのは「象」くらいなものです。
同様に「首が長い」という事柄が当てはまるのはキリンか首長族くらいですし「体がシマシマだ」が当てはまるのはシマウマくらいです。
このように、何かを話題に上げようと思えば「これは〜についての話なんですが」と、話の対象を絞り込む必要があるのです。
その話を絞り込む対象が「主題」であり「主題」の中で語られる主役が「主語」になります。
主題は「〜に関して言えば」に言い換えられる
どうしても主題を見分けにくい場合は「〜に関して言えば」に言い換えてみるのもおすすめです。
「象は鼻が長い」という文章を正確に(まわりくどく)表現すると、
になります。
これは主語と主題が逆だと文脈的に成り立ちませんので、どうしてもそれが主題なのかどうか判定したい場合は「〜に関して言えば」に言い換えて成り立つか考えてみて下さい。
「主語」と「主題」と「は」と「が」の関係性
主語や主題がそもそもなんなのか、ということを前章でお伝えしました。
次に、もっとルール的に見分けられるような方法をお伝えします。名詞の後に「は」か「が」がつけば主語であると覚えてしまっていた可能性がありますが、それは正確ではありません。
あらためて「は」と「が」をもとに、主語と主題の関係性をお伝えします。
「は」は「主題」か「主語+主題」をあらわす
名詞の後ろに「は」がつけば、それはかならず「主語」あるいは「主語と主題を兼ねる言葉」になります。
これを正確な表現にすると、
こんな風に言えます。上の文章の「私は」は「主題」であり、下の文章の「僕は」は「主語+主題」になります。
名詞の後ろに「は」がつくと、それはかならず「主題」あるいは「主語+主題」の言葉になると覚えておきましょう。
「が」は「主語」をあらわす
名詞の後ろに「が」が付くと、それは主語になります。
上の文は「好きだ」に係る言葉が「アイスが」ですので「アイス」が主語になります。そして「彼女」についての話をしているので「彼女」が主題ですね。
下の文も、もちろん「体」が主語になります。
名詞の後ろに「が」が付くと、それはかならず主語になると考えておきましょう。
まとめ
主語と主題を正しく理解することで、係り受けを間違えることも少なくなります。
ぜひ正しく理解して、良い文章を書けるようになっていきましょう。
文章を書くには「係り受け」についても大切ですので、下記の記事でおさらいしておいて下さい。