今回は日本語文法における「修飾語」について解説します。
修飾語の意味や種類、使い方を例文を用いながらわかりやすくご紹介しますので、ぜひこの機会におさらいしていって下さい。
また日本語文法の全体像は下記の記事で解説していますから、修飾語だけでなく全体的におさらいしたい方は、併せて参考にしてください。
修飾語とは
修飾語とは、他の言葉の「状態」や「状況」を詳しく説明するために添える言葉のこと。文章で伝えたいことを、よりわかりやすくするために用いられる、文の成分の一つです。
例文として、修飾語の使われている文章を用意しました。以下の通りです。
上記の文章では「綺麗な、とても、カラッと」が「修飾語」の役割を担っています。
また修飾語がかざりつけている「絵、素敵、晴れている」の言葉は、修飾されているということで「被修飾語」と呼ばれます。
主語と述語だけでも最低限の意味は通じますが、より状況をわかりやすく伝えるために、上手に修飾語を使っていきましょう。
まずは5つの用途別に、修飾語の例を解説していきます。
- 「加減」をあらわす修飾語
- 「場所」をあらわす修飾語
- 「評価」をあらわす修飾語
- 「対象」をあらわす修飾語
- 「時間」をあらわす修飾語
「加減」をあらわす修飾語
日常生活でもよく使われるのが「加減」をあらわす修飾語。「どのくらい」を表現する言葉です。
上記の文では「すごく」「少し」が修飾語になります。
どのくらいかっこいいのか、どのくらい臆病なのか、といったように「加減」を表現する言葉ですね。
かなり、めちゃくちゃ、だいぶ、割と、まったく、わずかに、等の副詞
「場所」をあらわす修飾語
「場所」をあらわす修飾語は「どこから・どこに・どこへ」を表現する言葉です。
上記の文では「家に」「家から」が修飾語になります。
どこに帰るのか、どこから出るのか、といったように「場所」を示す言葉ですね。
外、教室、学校、ジム、職場、会社、等の場所を表す名詞全般
「評価」をあらわす修飾語
「評価」をあらわす修飾語は「どんな」を表現する言葉です。
上記の文では「良い」「そこそこの」が修飾語になります。
どんな休日だったのか、どんな品物なのか、といったように「評価」を示す言葉ですね。
「対象」をあらわす修飾語
「対象」をあらわす修飾語は「何を、何が、何に」を表現する言葉です。
上記の文では「文章を」「文章が」が修飾語になります。
何を書くのか、何が好きなのか、といったように「対象」を示す言葉ですね。
スポーツ、学校、掃除、テレビ、YouTubeなど、名詞全般
「時間」をあらわす修飾語
「時間」をあらわす修飾語は「いつ」を表現する言葉です。
上記の文では「明日」「2000年に」が修飾語になります。
いつ帰ってくるのか、いつ生まれたのか、といったように「時間」を示す言葉ですね。
昨日、明後日、3日前、30年後、30分前、等の名詞。
修飾語の種類
また修飾語は、大きく二つの種類に分けられます。
- 連体修飾語|体言(名詞)を修飾する言葉
- 連用修飾語|用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する言葉
修飾語そのものではなく「どんな言葉を修飾するのか」によって変わります。
覚えておかなければ文章が書けないわけではありませんが、一応知識として知っておきましょう。
連体修飾語
連体修飾語とは、体言を修飾する言葉のこと。「体」言だから連「体」と覚えるとわかりやすいですね。
体言とは「名詞」を指す言葉ですので、連体修飾語を使うと以下のような文章になります。
連体修飾語は、その言葉が「どんなものなのか」を詳しく説明する用途で使われます。
連用修飾語
連用修飾語とは、用言を修飾する言葉のこと。「用」言だから連「用」と覚えるとわかりやすいですね。
用言とは「動詞・形容詞・形容動詞」を指す言葉ですので、連用修飾語を使うと以下のような文章になります。
連用修飾語は、その文章に「どんな、どこを、いつ」という情報を追加する用途で使われます。
修飾語の上手な使い方
次に、修飾語の上手な使い方について解説していきます。
修飾語をどう使えば文章を読みやすくできるのか、よりわかりやすく伝えられるのか、という実践的な部分を理解しておきましょう。
修飾語と被修飾語は、すぐ近くに置く
修飾語と被修飾語は、すぐ近くにおきましょう。これはわかりやすい文章を書く上で、かならず守るべきセオリーです。
例えば下記の文章をご覧ください。
上記文の場合「とても上手に」は「絵を描く」を修飾しているのですが、間に主語である「彼は」が入ることで、とてもわかりにくい文章になっています。
そこで、このように改修します。
セオリー通り、修飾語と被修飾語は近づけましょう。Webライティングの現場においても、初心者ライターに記事全体を通した修正をお願いすることのある内容です。
入れ子構造を意識する
文の中に修飾語がいくつ入ろうとも、述語以外の言葉はすべて「述語」に掛かることになります。
文を「入れ子構造」のように考えると文章が迷子になりづらいので、考え方を覚えておいて下さい。
まずは下記の文をご覧ください。
- 私は→買った(主語と述語の関係)
- 昨日→買った(「時間」の修飾語)
- 八百屋で→買った(「場所」の修飾語)
- すごく大きなトマトを→買った(「対象」の修飾語)
- たくさん→買った(「加減」の修飾語)
このように、述語以外の言葉はすべて述語に掛かります。
(主語の「私は」は修飾語ではありませんが、述語に掛かるという意味で今回は同列に扱います)
ここで気になるのが「すごく大きなトマトを」という言葉ですね。
これを単語単位に分解すると、
- すごく→大きな(「大きな」に対する、加減の修飾語)
- すごく大きな→トマトを(「トマトを」に対する、評価の修飾語)
- すごく大きなトマトを→買った(「買った」に対する、対象の修飾語)
こんな構造になっており、どの言葉も最終的には、その文の述語に掛かるような言葉にまでグルーピングできるのです。
このように「述語以外のすべての言葉は述語に掛かる」と覚えておけば、修飾語をつかった根本的な文法ミスを回避できるでしょう。
同じ意味の修飾語は、一文で2つ以上使わない
基本的に、同じ意味の修飾語は一文につき1つだけ使うようにしましょう。
ここでいう「意味」とは、最初の章で解説した「加減」「対象」「評価」「場所」「時間」の5種類のジャンルのことです。
例として「加減」の修飾語をたくさん使った文章を書いてみました。以下の通りです。
これは大袈裟な例になりますが、下記の文で十分です。
そもそも文法的に成り立たなくなることもありますので「同じジャンルの修飾語は一文に1つが基本」と覚えておきましょう。
まとめ
修飾語は、わかりやすい文章を書くためのツールです。ぜひうまく使っていきましょう。
しかしあまりにたくさん詰め込んでしまったり、入れる場所を間違えたりすると、逆にわかりにくい文になってしまう可能性もあります。
特にお仕事で文章を書く場合は、正しく使えるように練習しておいて下さい。