「塗布(とふ)」と「塗付(ぬりつけ)」の意味や用法の違いを解説

この記事では「塗布」と「塗付」の意味や用法の違いについて解説していきます。

結論から言えば、どちらも「塗る」というニュアンスでほぼ同じ意味を持ちますが、読み方や用法が異なります。適切に使えるようにしておきましょう。

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たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

「塗布(とふ)」と「塗付(ぬりつけ)」の違い

「塗布」「塗付」は、どちらも「塗り付ける」という意味を持ちますが、読み方や用法、言葉の成り立ちが異なります。

「塗布(とふ)」は正式な熟語として扱われるのに対し、「塗付(ぬりつけ)」はあくまで「塗り付け」の送り仮名を省略した形の言葉です。「塗付(ぬりつけ)」は、主に塗装業界で慣習的に使われている表記だと理解しておくと良いでしょう。

また「塗付」を「塗布」と同様に「とふ」と読んでいる表記も散見されますが、誤りです。「塗付」は「ぬりつけ」と読みましょう。

塗布(とふ)の意味と用法

「塗布(とふ)」は「塗り付ける」という意味で、塗装や医療の分野で使われる言葉。文法的に言えば「体言」として扱います。

用例
  • ペンキを壁一面に塗布する
  • この薬を患部に塗布する

基本的には「塗布する or される」と使うほか、塗り付けることに関わる単位として「塗布料」「塗布量」などの言葉にも用いられます。

塗付(ぬりつけ)の意味と用法

「塗付(ぬりつけ)」は、実は「塗り付ける」と「責任転嫁する」の二通りの意味を持つ言葉です。

用例
  • この壁は、塗料の塗付がまだ終わっていない
  • 彼に塗付しても何にもならない

精選版 日本国語大辞典」によると、塗付のもつ「責任転嫁」の意味は「自分の罪や責任を人に負わせる。転嫁する。かこつける」と定義されています。

現に古今著聞集では「罪をなすりつける」の文脈で「塗付(※正確には平仮名で「ぬりつけ」)が使われていました。

しかし現代では、基本的に1の意味でのみ用いられます。「責任転嫁」の意味で使っても誤りではありませんが、理解してくれる人は少ないかもしれません。

また塗布と違い、薬の使用に対して「塗付(ぬりつけ)」するとは基本的に言いません。塗付は、ペンキなどの塗料を「塗り付ける」といった文脈で使うと良いでしょう。

まとめ

「塗布」と「塗付」は同じような意味を持つ言葉ですが、その成り立ちや用法は微妙に異なります。

ぜひ正しい意味を知った上で、適切な場面で使っていってください。

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