句読点の使い方を8のルールで解説。読みやすくなる打ち方とは?

当記事では日本語文法における「句読点の適切な使い方」について解説します。

句読点の使い方について明確な共通ルールがあるわけではありませんが、原稿執筆の現場においてはある程度の共通認識が存在します。

それをわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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\ この記事を書いた人 /

たくろー
Webディレクター
ライティングから編集、校正、ディレクション、SEO対策、アクセス解析、撮影、画像編集、Web制作と、なんでもやってるwebディレクターです。
現在はIT企業でインハウスSEO担当兼、メディア運営責任者・編集者として働きながら、札幌でWebライティングの講師として活動。「良いWebライターが増えれば仕事が楽になるなぁ」と思いながら、一人でひっそりと文亭を運営中。著書『Webライターが書いてはいけない文章28選』

句読点とは

句読点とは、日本語文法において文章を読みやすくするために用いられる「くぎり符号」の一種。「句点(。)」「読点(、)」をまとめて「句読点」と呼びます。

文化庁が発表した『くぎり符号の使ひ方[句読法](案)』という文書にて、句読点やカッコ、感嘆符などを含めた「くぎり符号」全般に対する指針が定められており、要約すると以下のような内容になります。

  • 句読点などくぎり符号の適用は、一種の「修辞(文の装飾)」である
  • つまり文の筋道を乱さない程度に、自由に使って良いものだ
  • 読者の年齢や知識の程度に応じて、付け方を工夫すべきだ

上記指針のほかに細かい例なども書かれているのですが、それは昭和21年に考えられたものだということもあり、実際の運用では問題があったと確認されています。

句読点の付け方については「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」(昭和21年,文部省国語調査室)という指針がある。外国人にこのとおりにやらせてみたことがあるが,読点がかなり多くなってしまった。

出典:文化庁『国語分科会第23回議事要旨

よって今回の記事では文化庁の指針を参考にしつつも、あくまで現代の原稿執筆・編集・校正の現場で通用する句読点の使い方について、当サイト独自の見解を解説しています。

句読点の種類

まずは句読点の種類である「句点」「読点」について解説します。

句点とは「。」のこと

句点「。」のことで、各文の終わりにつける符号です。

「文の終わりにつける」というシンプルな用法ですので、特に使い方を間違えることはないでしょう。

読点とは「、」のこと

読点「、」のことで、文を読みやすくするために文中に適度に用いる符号です。

公文書や論文では「,(カンマ)」が用いられますが、Webコンテンツやブログ記事、ビジネスメール、業務マニュアルなどの一般的な文章では「、」を使うと良いでしょう。

どこにつければ良いのか全くわからないという方は、まずは「音読したときに息継ぎをするようなタイミング」でつけてみると良いでしょう。

句読点を適切に使うメリット

句読点を適切に使えると、総じて「わかりやすい文章」を届ける手助けになります。

ここでは句読点を適切に使うメリットを、もう少し細かく3つに整理してご紹介します。

言葉同士の区切りをわかりやすく示せる

句読点を適切に用いることで、文中の言葉同士の区切りをわかりやすく示す手助けになります。

文章の目的は「読み手を動かすこと」ですが、それにはまずわかりやすく、理解されやすいことが必要です。

句読点を適切に用いることで、良い文章に一歩近づきます。

文のリズムをコントロールできる

句読点を適切に使うことで、文のリズム(読み味)をコントロールできます。

例文
  • 僕は働きながら、プログラミングの学習をしている。
  • 僕は、働きながらプログラミングの学習をしている。

どちらが良いというわけではありませんが、読み味が変わります。上の方がメディア的な表現で、下の方が国語的な表現といった違いでしょうか。

句読点の打ち方を工夫することで、そのメディアや誌面の雰囲気をコントロールすることにもつながります。

文章力・日本語能力のアピールになる

句読点を適切に使えていると、それがそのまま文章力のアピールになります。

原稿執筆の仕事ではもちろんのこと、ビジネスメールや履歴書、メモ書きなど「句読点」の使い方を見られるタイミングは意外と多いもの。

句読点をスマートに使えることで、一定の教養や文章力があることの証明になるでしょう。

原稿執筆における句読点の使い方8のルール

ここでは原稿執筆における句読点の使い方を、8つのルールにまとめました。

まず前提として、句読点には「文をわかりやすくするために打つ」という役割があります。

そのための具体的な用法という意味で、8つにまとめました。ぜひ参考にしてみて下さい。

1. 意味を固定するために読点を打つ

意味が何通りにも取れてしまう文は、読点を打つことで意味を固定するのがマナーです。

有名な例文に「ここではきものを脱いでください」があります。

  • ここでは、きものを脱いでください。
  • ここで、はきものを脱いでください。

何通りにも読めてしまう文では、このように読点を打つことで意味を固定しましょう。

2. 同じ種類の語が続く箇所に読点を打つ

ひらがなが続く箇所、あるいは漢字が続く箇所は、意味が途切れるタイミングで読点を打ちましょう。

例文を用意しました。

例文
  • 「これからの時代重要になるのはあらゆるクライアントから求められるライティング技術だ」

  • 「これからの時代、重要になるのは、あらゆるクライアントから求められるライティング技術だ」

同じ種類の言葉が続くの意味の区切りがわかりづらくなりますので、このように読点を打つのがマナーです。

あわせて漢字をひらがなにしたり、ひらがなを漢字にしたりといった工夫も検討すると良いでしょう。

3. 一文の読点は二つまでを目安に抑える

一文の中で打つ読点は、目安として「二つまで」を意識しましょう。

極端な例ですが「僕は、昨日、コンビニで、お菓子を、買って、食べました」と読点をたくさん打つと、かえって読みづらい文になってしまいます。

この場合「僕は昨日、コンビニでお菓子を買って食べました」で十分ですね。

読点を二つまでに抑えられない文は、そもそも長すぎる可能性を疑い、分割することを考えましょう。

※ただし後に紹介する「物事を並列で並べる場合の読点の用法」においては、この限りではありません。

4. 長い主語の後ろに読点を打つ

さまざまな修飾語が重なって長くなった主語は、読点を打つことで区分をはっきりさせましょう。

上記の文が良い例でさまざまな修飾語が重なって長くなった主語は」という長い主語の後ろに「、」を打つことで、どこまでが主語なのかはっきり示しています。

これを仮に「様々な修飾語が重なって、長くなった主語は読点を打つことで、」などとしてしまうと、どこまでが主語かわかりづらくなってしまいます。

文の構造をわかりやすくするために、わかりにくくなりそうな長さの主語の後ろには読点を打つと良いでしょう。

5. 並立でモノゴトを並べるときに読点で区切る

並立関係のモノゴトを並べて書くときには、読点で区切るとシンプルな文に整理できます。

例文を用意しました。

例文

このフロアには冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、炊飯器、コーヒーメーカーなどの生活家電が展示されています。

並立で紹介する物事が多くなる場合は、上記文のように「AやB、C、D、E」と読点で区切りながら並べるのがセオリーです。

なおこの構成の場合に限り「読点は一文に二つまで」のルールは忘れて問題ありません。

6. 括弧の前後には読点を打たない

これは慣例的なルールですが、括弧の前後には読点を打たないのがセオリーです。

例文を用意しました。

例文
  • 彼は、「文章は難しい」、と言った。

  • 彼は「文章は難しい」と言った。

そもそも「読みやすく」「区切りをわかりやすく」という目的で使うのが読点ですので、括弧で区切られている箇所には必要ないという考え方です。

絶対につけてはいけないわけではありませんが、括弧の前後には読点は不要だと覚えておきましょう。

なお括弧にはさまざまな種類がありますので、下記の記事も参考にしてみて下さい。

7. 会話文「」の終わりには句点を打たない

これも慣習的なルールですが、括弧を用いた会話文の終わりには句点を打たないのがセオリーです。

例文
  • 「読みやすい文章を書くのは大変だ。」

  • 「読みやすい文章を書くのは大変だ」

絶対に打ってはいけないというルールがあるわけではないのですが、基本的に会話文の終わりの句点は無しで問題ないとされています。

8. 文末に小括弧を使った場合は、句点の位置を検討する

文末に小括弧()を使った場合は、その用法によって句点の位置を検討しましょう。

文末に小括弧を用いるケースは、主に「但し書き」か「出典」のどちらかです。その用法の違いにより、句点を以下例文のように使い分けてください。

例文
  • 注釈の表記:句読点の使い方は、意外と難しい(但し勉強すれば習得できる)。
  • 出典の表記:文章を書く目的は人を動かすことだ。(出典:文亭)

注釈の場合「その括弧書きも文の一部である」という考え方から、句点は括弧の後に打ちます。

出典表記の場合は文とは独立したメモ書きになりますので、句点で文を区切った後に括弧書きを繋げるのが基本。

文脈により変わりますので、覚えておきましょう。

まとめ

句読点の使い方に明確なルールがあるわけではありませんが、いつでも「文を読み手にとってわかりやすくする」という目的は変わりません。

ぜひ適切な用法で句読点を取り扱って、わかりやすい文を書いていきましょう。

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